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真壁石灯籠の名工取材

2008年12月05日

 茨城県真壁町は筑波山の麓にある石の町。この地方に伝わる独自の石造り技術が生み出した真壁石灯籠を作る伝統工芸士・加藤征一さんを取材した。

(仕事場で語る加藤征一さん)
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 真壁一帯の石材業の起こりは、室町時代末期に始められた仏石造りだと言われる。それは町の北東に位置する加波山(かばさん)が、良質な花崗岩の産地だったことで、地元の石工たちは質の高いこの石を加工する独自の技法を確立し、真壁石燈籠の世界を広げて行った。真壁石燈籠として確認できる最古のものは、文政7(1824)年という。数百年の時を越え、石工の卓越した技が生きる真壁石燈籠は1995年、国の伝統工芸に指定された。
 加藤さんは家業を引き継ぐ形で、53年間、この真壁町で石と共に生きてきた現役の職人さんである。まさに年輪を感じさせる名工だ。

(作業をする加藤さん)          (加藤さんの作品群)
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 この職人シリーズの取材を始めて、職人の方々に会う度に感じるのは「こういう方がこの日本にいたんだ」というで感慨である。取材でなければ、まず出会いのない方たちだろう。人間国宝のような文化的で華やかな存在ではなく、商品としての日本の伝統工芸品を伝統技術で作り続けていく方々。商品である限りは、需要がなくなれば仕事もなくなるという状況に置かれている。この真壁石灯籠も需要減に悩まされているひとつ。現在の日本の住環境にあっては、一部の嗜好品となっていく傾向が顕著だ。
 もしこういう技術を引き継ぐ人がいなくなったら、この技術はどうなってしまうのだろう。形あるものではないだけに、そのまま消えて行ってしまうのか、または形を変えて残って行くのだろうか。幸いにして、加藤さんは御子息が跡を継ぎ、真壁町では唯一の親子で伝統工芸士の資格を持つ。加藤さんもまだまだ現役だ。(小野里)

(真壁石の採掘場。その規模の大きさに圧倒される)
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