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2007年07月12日
「しんきんライフ」秋号の撮影のため木曽路の宿場町、妻籠に向かう。季節は梅雨まっただ中。東京出発時に曇っていた空は、木曽路に入る頃には雨に変わっていた。撮影を躊躇するほどの本格的な降りだったが、「また別の日に来ましょう」と言える距離でもないので、とりあえず様子を見ながら撮影をはじめる。
緑深い山間にひっそりと残された古い町並み。間近に迫る山の緑には霧がかかり、まるで「まんが日本昔ばなし」に出てくるような世界だ。雨のために人気は少なく、木造の家屋も地面もしっとりと雨に濡れ、情緒ある風情をたたえていた。天気がよいと観光客で賑わうというから、だいぶ印象は違っていたかもしれない。そして妻籠塾の写真は、雨の功名ともいうべき一枚。人っ子一人いない妻籠の町並みです。これを写すにはなかなかの苦労があって、道行く人が画面に入り込まず、さらに多少でも雲がとれて明るくなるシャッターチャンスを、三脚立てて待ってるんですね。「おっ、明るくなった。チャンスチャンス!」と思っても、そういう時に限って人が歩いてきたりする。そんな気持ちの浮き沈みの末に収めた一枚というわけです。
ちなみにこの妻籠で、粂川カメラマンは番傘を購入。妻籠やこの後に行った馬籠の町並みにはとってもよく似合っていました。大きくってよいのですが、その分重くて二の腕はプルプルです。(丸山)
雨の妻籠宿
馬籠宿
2007年07月29日
てふてふの取材で、7月27〜29日、二泊三日で長崎・雲仙へ。
初めて訪れた長崎。街を走る路面電車、坂の上に建つ洋館、異国情緒。今年の初めに同じく撮影で行った函館とよく似ている。真冬の函館もなかなか過酷だったが、真夏の長崎もそれに匹敵するだろう。30度を超す猛暑の中、汗だくになりながら、大浦天主堂、グラバー邸、浦上天主堂、平和公園、崇福寺などを撮影して回る。日本初のものにたくさん出会えるのが長崎だ。大浦天主堂は日本最古の木造ゴシック様式の教会だし、グラバー邸は日本最古の木造洋風建築物である。そういえば、「ボーリング発祥の地」なんていう石碑も立っていた。たしかに、新しい文化の流れはこの街からやってきたのだ。
同時に、長崎は悲しい歴史が多く残されている街でもある。それをずしりと感じさせられたのが、浦上天主堂にある被爆した聖像。原爆によって焼かれ、首を失った姿は痛ましく、キリシタン迫害と原爆投下という2つの悲しい歴史の記憶が焼き付けられていた。夜は中華街でチャンポンや皿うどんを食べる。感情揺さぶられた長崎市を後にし、2日目は雲仙へと向かう。
雲仙という地名からは“普賢岳の噴火”という出来事しか連想できず、どこか乾いたイメージを持っていたのだが、いやいや驚いた。真夏だったにもかかわらず空気はさわやかで、朝もやの中から鳥のさえずりが聞こえてくるようなところ。明治の頃から外国人が避暑地として訪れていたという、ステキな場所だった。宿泊した「雲仙観光ホテル」の存在も大きいだろう。赤い屋根のスイスの山小屋風の建物で、そのクラシックな佇まいにすでにトキメいてしまうが、内観もまったく手を抜いていない。各部屋には赤い絨毯が敷かれ、壁紙やカーテンはウィリアム・モリスデザイン。しかも部屋によって、ファブリックのパターンを替える凝りよう。バスタブは憧れの猫足である。サービスも心地よく、食事も豪華で美味しくて……、あぁもう褒めてばかりいるが、このコストパフォーマンスの高さにとにかく感動してしまったのだ。
もっと長くこの部屋にいたい〜!と後ろ髪を引かれながらも、翌朝は撮影に出発。雲仙地獄、普賢岳、その後は、島原へ向かい、島原城や武家屋敷などを撮影し、2泊3日の長崎取材を終える。(丸山)
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