2013年04月20日
ヨーナス・ハーヴィスト・トリオ@武蔵野スイングホール。以下に「ジャズジャパン」6月号掲載のライヴ・レポートを転載する。
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世界的にピアノ・トリオ全盛時代が続く中、日本におけるフィンランド産トリオの認知度はまだ発展途上だ。昨年12月にリーダー第2弾『ミクロ・トゥ・マクロ』で日本デビューを果たしたヨーナス・ハーヴィストが、レコーディング・メンバーと共に初来日。東京では唯一となる会場の完売公演を観た。スーツ姿で登場した3人から、スタイリッシュなイメージを大切にする姿勢が伝わってきて、好感度アップ。全曲オリジナルの新作がそうだったように、このピアニストには美旋律を生み出す血が流れているのだなと再認識した。ファースト・セットは3曲目まで新作と同じ選曲によって、アルバムの世界観を再現。5曲目の「パーティイング・クォークス」になると、ハーヴィストは低音域での表現を意識した左手のプレイで、アルバム・ヴァージョンとは異なる音風景を演出。その意図を汲んだかのように、ヨーナス・リーパがタムとフロアタムの低音ドラムを中心にソロを展開して、前半のハイライトを現出した。
セカンド・セットはメンバーが会場の雰囲気に慣れたようで、1曲目に新曲「シバルバ」をプレイ。シンバルをスティックで擦るドラム・ソロで始まると、3人がそれぞれの見せ場を繰り出した。「カラー・コンファインメント」は原曲にないフリー・インプロヴィゼーションも飛び出して、多様性を持つトリオの音楽性を実証したことが特筆される。当夜のステージで明らかになったのは、常識にとらわれないリーパの多彩なテクニックと状況判断のセンス。つまり冒頭のスーツ姿のイメージが次第にほぐれて、トリオの本性が顕になったことに意味があると感じたのである。最新作の全8曲を演奏した後のアンコ?ルに「ラッシュ・ライフ」を選曲。アルバムだけでは知ることのできなかったトリオの多彩な魅力が感じられたのが収穫だ。現代北欧ジャズの美点を体現するハーヴィスト・トリオが、フィンランドの代表格に昇格する日も遠くないと確信したステージだった。
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