Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

スウェーデンの貴公子が新作の世界を披露

2009年10月19日

 日本のレコード会社の制作によるリーダー作も多数リリースしているスウェディッシュ・ピアニスト=ヤン・ラングレンが、丸の内「Cotton Club」に初登場した。早いものでアルバム・デビュ?から15年になるラングレンは、自身40代を迎えたタイミングでドイツACTへ移籍。今年、同レーベルからの個人名義では第1弾となる『ヨーロピアン・スタンダーズ』をリリースしており、レコーディング・メンバーによる今夜は新作の世界を披露するステージとなった。ラングレンは母国の古謡などをカヴァーした『スウェディッシュ・スタンダーズ』というコンセプト作に取り組んだ実績があり、最新作はその拡大版だと見ることもできる。過去にも他のミュージシャンによる例がある企画とは言うものの、ラングレンはトラディショナル限定ではなくロックや映画音楽にも素材を求めて、10カ国13曲のカヴァー作を完成させた。ステージではクラフトワーク、ミシェル・ルグラン、ビートルズ、クリストフ・コメダといった欧州各国の作曲家のナンバーを演奏。ジャンルの異なる素材を手際よく自分たちのレパートリーにリメイクするトリオ・サウンドは、居ながらにしてスウェーデンに誘ってくれる趣だ。今春、日本制作の初リーダー作をリリースしたベースのマティアス・スヴェンソンは、ラングレンとの長年の協調関係をうかがわせるプレイ。ハンガリー出身のドラマー=ゾルタン・クゾーツJr.は、手数の多い躍動的な演奏で、トリオを鼓舞した。終盤には『スウェディッシュ?』収録曲を取り上げ、アンコールでは観客からのリクエストに応えて「ア・タッチ・オブ・ユー」で締めてくれた。客席には熱心な欧州ジャズ・ファンが散見されたのも、個人的に嬉しい状況であった。

Editorial Office

エディトリアル・オフィスの仕事を紹介します。

Work's Diary

エディトリアルスタッフの取材ダイアリーを紹介します。

Kimono Gallery

染物・着物に関する情報をお伝えしています。

Jazz Diary

音楽評論家・杉田宏樹のライブダイアリーです。

Hachi Diary

セブンオークスのボーダーコリー「ハチ」のフォトダイアリーです。

セブンオークスへのお問い合わせを受け付けております。
メール:hachi@7oaks.co.jp
住所:〒134-0081 東京都江戸川区北葛西2-10-8
Phone:03-3675-8390
Fax:03-3675-8380