Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ビッグ・バンド秋の定期公演
2009年10月12日
角田健一ビッグ・バンドの定期公演を「紀尾井ホール」で観る。同バンドにとってそうであるように、ぼくにとっても彼らのステージを観ることがこの季節の定例となっている。今回のテーマは「プレイズ・ジャズ・スタンダード」。90年に立ち上がったこのBBは、今年で結成19年を迎えた。BBを継続することは経済的な面でも容易ではなく、その点だけでも角田BBの運営は賞賛できる。近年は学生の間での管楽器とBB人気の高まりが、角田BBの活動の追い風となったことは間違いない。カウント・ベイシー楽団の十八番曲「ジャンピング・アット・ザ・ウッドサイド」を皮切りに、デューク・エリントンやベニー・グッドマン等の代表曲を、新たなアレンジでカヴァー。BBの常としてソロイストをフィーチャーする中で、メンバーのキャラクターにもスポットを当てて、ステージと客席の距離を縮める。リーダー角田による終盤のメンバー紹介は、そのハイライトとなった。この頃BBによるカヴァーが散見される中で、角田BBのチック・コリア曲「スペイン」は彼らのコンテンポラリーな実力をアピールする出色の1曲であった。