Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ピアノ・サロンでの限定ライヴ
2008年01月26日
昨年所属事務所を移籍したアキコ・グレースのソロ・ライヴを、タカギクラヴィア松濤サロンで観た。ここに来るのは2度目で、前回はレコーディングを兼ねたグレースのトリオ公演だった。世界のトップ・ブランドとしてその名が浸透しているスタインウエイの日本代理店である同社のメリットを生かして、60人限定のイヴェントが開かれたのである。昨年グレースはアルバムをリリースしなかったのだが、新しい試みに取り組んだ。ホームページからのデジタル・シングル配信がそれ。iTunesでウイントン・マルサリスが行ったサービスを思い出す向きもあるだろう。毎月1曲ずつ新曲を発表し、フル・アルバム分の楽曲数が揃ったらパッケージ化するという、ジャズ界では前例のないものである。今夜のステージはピアノの前後を客席がはさんだセッティングにより、グレースのソロ演奏を至近距離で堪能できるという、ファンにはたまらない内容となった。スタンダードからモンク、ロリンズのジャズ・ナンバー、さらにオリジナルと多彩な選曲にあって、ユニークだと思ったのが「お題頂戴による即興演奏」。休憩時間に集めた観客考案のテーマからグレースが3点を選び、即興のメドレーで演奏した。最近、お寺で座禅を組み、リフレッシュしたグレース。今年はさらなる新境地を示してくれそうである。