Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

ストックホルム3日目

2007年07月21日

 海外旅行の楽しみの1つにホテルのサービスがある。特に重要なのが朝食だ。新市街に位置するスカンディック・アングレは、ストックホルムJFの出演ミュージシャンが宿泊していることもあって、メニューが豊富。日本での生活とは違って、たちまち早起きが習慣となった。1Fのテーブル・スペースに行けば、知った顔に会えるというわけだ。朝食後にガムラ・スタンを散策する。ストックホルム発祥の地であり、現在もカール・グスタフ16世が執務する王宮や大聖堂、教会などがある観光名所だ。ホテルから徒歩15分で到着し、王宮の中を歩く。歴史を感じさせる建造物が並ぶ。ガムラ・スタンに限らず、ストックホルムに古い建物が多いのは、地震がないことと大いに関係があって、どれもが頑丈な造りだ。日本のような高層ビル群もないので、青空が広く見渡せるのもこの街の魅力になっている。

 午後1:00にメイン・ステージがあるシェップスホルメンへ移動。プレス・ルームで関係者に挨拶し、2:00からスライディング・ハンマーズのステージを観る。ジャズ界では珍しい2人の女性トロンボーン・チームだ。日本でもアルバムがリリースされていて、人気が高い。来日公演も行っているが、やはりこの地のステージを観るのは格別。曲間のMCがスウェーデン語なので、日常感覚の彼女たちを楽しむことができた。J.J.ジョンソン&カイ・ウィンディングをお手本とした上で、ヴォーカルもとれるのがSHのユニークさ。さらにヴィジュアルの魅力が加わって、他に例のないオリジナリティを確立している。その持ち味が最も発揮されたのが、トロンボーンとスウェーデン語ヴォーカルのデュオで始まる「ビウィッチト」だった。

 セット・チェンジに続いて、いよいよ西山瞳トリオが登場。これほどの規模(2000人収容)の野外コンサートは日本でも経験したことがない西山にとって、まさに晴れの舞台である。レコーディング・メンバーでもあるハンス・バッケンロス(b)+アンダーシュ・シェルベリ(ds)とのステージは、デビュー作のタイトル・ナンバーから始まった。メンバーのソロ回しはなく、終始ピアノが主旋律を奏でる構成。西山の音楽を初めて体験する多くのオーディエンスに対して、これは掴みとしての自己アピールになったはずだ。叙情的なメロディー・センスを輝かせる「ユー・アー・ノット・アローン」、ダイナミックに躍動する「フラッド」「ジラフズ・ダンス」と、日本での演奏と変わらぬ力を発揮した。さらに頼りになる2人のスウェディッシュを得たことで、西山のレギュラー・トリオには求められないトリオ・サウンドを体感できたのが収穫だった。

 終演後、市街の南西に位置するホーゲルビーパルケンへ向かう。5:00からマルガリータ・ベンクトソンのステージを観る。80年代に結成したザ・リアル・グループのメンバーとして名声を高めた実力派ヴォーカリストだ。5月にソロ・デビュー作『アイム・オールド・ファッションド』をリリースしたタイミングでの、ライヴ鑑賞である。150人ほどの客席がセッティングされた野外の、屋根つき会場。地元の人々がぶらりと集まったという雰囲気だ。広い公園が隣接しているので、ピクニック感覚で足を運んだ家族連れも多い。ステージは5管+リズム・セクションからなるオクテットがバックを務めるもの。新作のレコーディング・メンバーとほぼ同一という豪華なセッティングである。やはりマルガリータは母国語でMCを行い、生き生きとした普段着姿の魅力を印象づけた。本人はスキャットのみでインスト・パートをフィーチャーしたり、トランペットのカール・オランドソンがヴォーカルを務めて「シャイニー・ストッキングス」を下敷きにしたヴォーカリーズ・デュエットを演じるなど、本格派の実力を発揮。

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